二次相続の対策はいつから?子の相続税負担を抑える一次相続の分け方

query_builder 2026/11/02
二次相続の対策はいつから?子の相続税負担を抑える一次相続の分け方


「父が亡くなったときは、相続税がかからなかった。だから母のときも大丈夫だろう」 小出税理士事務所にも、こうした思いを持ちながら「母から子への相続に向けて何を準備すればいいか」とご相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

ただ、両親のうち2人目が亡くなったときの「二次相続」は、1回目よりも相続税の計算条件が不利になりやすい相続です。 そして、その税額を左右する要素の1つが、1回目の相続でどう遺産を分けたかという点にあります。

この記事では、二次相続で相続税が高くなる理由と、対策を始めるタイミングについて解説します。 あわせて、子の負担を軽くするための一次相続での分け方も、具体的な数字を使って紹介します。

二次相続とは?相続税が高くなる理由

二次相続は、一次相続とくらべて税金の計算条件が不利になりやすい相続です。 まずは言葉の意味を押さえたうえで、なぜ相続税が高くなりやすいのかを順番に見ていきましょう。

二次相続は「残された親」が亡くなったときの相続

夫婦のどちらかが亡くなったときの相続を「一次相続」と呼びます。 そのあと、残された配偶者が亡くなったときの相続が「二次相続」です。

たとえば、父・母・子2人の家族で父が先に亡くなった場合、父の相続が一次相続になります。 その後に母が亡くなると、母の相続が二次相続です。

一次相続では母と子2人の計3人が相続人になりますが、二次相続では子2人だけになります。 この「相続人が1人減る」という変化が、税金の計算に大きく関わってきます。

数次相続とのちがい

二次相続とよく似た言葉に「数次相続(すうじそうぞく)」があります。

二次相続は、夫婦の一方が亡くなったあと、残された配偶者が亡くなったときの相続を指します。 

一方、数次相続は、遺産分割が終わらないうちに相続人が亡くなり、次の相続が発生することです。

たとえば、父の遺産分割が終わる前に母が亡くなった場合は、二次相続であると同時に、数次相続にも該当します。 

権利関係や必要書類が複雑になりやすいため、一次相続の手続きを先延ばしにしないことも大切です。

数次相続になると、相続人の確認や書類の準備が一気に複雑になります。 二次相続の対策とあわせて、一次相続の手続きを先のばしにしないことも大切だといえます。

相続人が減って基礎控除が下がる

相続税には「基礎控除」という、税金がかからない金額の枠があります。 計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

先ほどの家族の例では、一次相続の基礎控除は3,000万円+600万円×3人で4,800万円になります。 二次相続では相続人が2人になるため、4,200万円まで下がります。

基礎控除が600万円減るということは、その分だけ税金のかかる財産が増えるということです。 基礎控除のくわしい計算方法は、相続税はいくらから?基礎控除3600万円で決まる目安と計算で解説しています。

配偶者の税額軽減が使えない

一次相続では「配偶者の税額軽減」という、とても大きな優遇を受けられます。 配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い金額までは、相続税がかかりません(国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減)。

一方で二次相続では、亡くなった人に配偶者がいないため、この制度は使えません。 一次相続で税金がゼロだった家庭でも、二次相続では税金が発生する可能性があります。

残された親の財産も上乗せされる

二次相続の対象になるのは、一次相続で受け継いだ財産だけではありません。 残された親がもともと持っていた預金や不動産も、一緒に相続財産として数えられます。

たとえば母が自分の親から受け継いだ土地や、長年の勤め先から受け取った退職金などがあれば、それも加算されます。 一次相続で多くの財産を受け取るほど、二次相続の財産はふくらみやすくなります。

生命保険の非課税枠や小規模宅地の特例が使いにくくなる

税金を軽くする制度のなかには、相続人の数や同居の状況によって効果が変わるものがあります。 二次相続では、次の2つにも注意が必要です。

  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が、相続人が減った分だけ小さくなる

  • 自宅の土地の評価を最大80%下げられる「小規模宅地等の特例」が、子の住まいの状況によっては使えない

小規模宅地等の特例は、一次相続で配偶者が自宅を相続する場合なら、原則として同居などの要件を問わず使えます。

しかし二次相続では、子が親と同居していたかどうかや、子自身が持ち家に住んでいるかどうかなどで、使えるかどうかが分かれます。

たとえば子が別の場所で持ち家に住んでいる場合は、特例の対象にならず、自宅の土地が評価を下げずに計算されることがあります。 細かい要件は家族の状況によって異なるため、早めに確認しておくと安心です。

二次相続の対策はいつから始める?

二次相続の対策は、二次相続が近づいてから始めるものではありません。 このあとのシミュレーションで紹介するように、一次相続の分け方で税額が変わる以上、早めに動くほど選べる方法が増えていきます。

理想は一次相続が起きる前から

もっとも選択肢が多いのは、両親がともに元気なうちに準備を始める場合です。 この段階であれば、遺言書の内容や生前贈与、生命保険の入り方などを、二次相続まで見通して組み立てられます。

たとえば、父が遺言書で「母にはこれだけ、子にはこれだけ」と分け方を示しておけば、一次相続のときに家族が迷いにくくなります。

最近では、二次相続を見越して夫婦それぞれが遺言書を用意するケースも見られます。

両親が元気なうちに家族で話し合っておけば、本人の意思を確かめながら分け方を決められます。

相続が起きてから慌てて考えるより、落ち着いて選択肢をくらべやすくなる点も大きなメリットです。

遅くとも一次相続の遺産分割まで

すでに一次相続が起きている場合でも、遺産分割協議がまとまる前なら、まだ間に合います。 二次相続の税額を左右する「だれがどれだけ相続するか」は、この協議で決まるためです。

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。 葬儀や手続きに追われているうちに、あっという間に期限が近づいてしまいます。

ただし、配偶者の税額軽減は、原則として期限までに遺産分割がまとまっていないと使えません。 また、この制度で税額がゼロになる場合でも、相続税の申告は必要です。

申告期限から3年以内に分割する見込みを届け出れば後から適用を受けられる制度もありますが、手続きが増えるため、できれば期限内に話をまとめておくと安心です。

成立した遺産分割を安易にやり直すと、財産の移転が贈与などと扱われ、別の税負担が生じることがあります。 そのため、最初の話し合いの段階で、二次相続まで見通しておくことが大切です。

家族で話し合うときに押さえたいこと

二次相続まで考えた分け方を決めるには、家族全員が同じ情報を持っていることが大切です。 話し合いの前に、少なくとも次のような点を共有しておくとスムーズに進みます。

  • 亡くなった親の財産の一覧と、おおよその評価額

  • 残された親自身が持っている財産

  • 残された親のこれからの生活費や、介護が必要になったときの費用の見込み

  • 子それぞれの住まいの状況(持ち家か、親と同居しているか)

とくに見落とされやすいのが、残された親自身の財産です。 一次相続の話し合いでは亡くなった親の財産ばかりに目が向きがちですが、二次相続の税額は親自身の財産と合わせて決まります。

また、子の住まいの状況は、先ほど紹介した小規模宅地等の特例が二次相続で使えるかどうかに関わります。

こうした情報を最初にそろえておくことで、「あとから考えると別の分け方のほうがよかった」という後悔を減らせます。

一次相続の分け方で相続税はどれくらい変わる?

二次相続の税金は、一次相続でだれがどれだけ相続したかによって大きく変わります。 ここでは同じ家族を例に、分け方の違いで合計の税額がどう変わるのかをくらべてみます。

シミュレーションの前提条件

今回は、次のような家族を想定して計算しました。

  • 父が亡くなり、遺産は1億円

  • 相続人は母と子2人

  • 母はもともと自分の財産を持っていない

  • 母の相続(二次相続)までに財産は増減しない

  • 小規模宅地等の特例など、ほかの特例は使わない

実際には、母が生活費として財産を使ったり、不動産の評価が変わったりするため、結果はご家庭ごとに異なります。 あくまで「分け方によってこれだけ差が出ることがある」という目安として見てください。

また、計算を単純にするために、母の固有財産はゼロにしています。 母自身にも財産がある場合は、二次相続の税額はさらに大きくなる点に注意が必要です。

分け方ごとの相続税の合計

3つの分け方で、一次相続と二次相続の税額を計算した結果が次のとおりです。 税額は2026年10月時点の税率をもとにした概算で、1万円未満は切り捨てています。

一次相続での分け方

一次相続の税額

二次相続の税額

2回の合計

①母がすべて相続

0円

約770万円

約770万円

②法定相続分どおり(母5,000万円・子2,500万円ずつ)

約315万円

約80万円

約395万円

③子2人がすべて相続

約630万円

0円

約630万円

一次相続の税金だけを見ると、母がすべて相続する①がもっとも安く、税金はゼロになります。 配偶者の税額軽減を最大限に使えるため、一次相続の時点では魅力的に見える分け方です。

ところが二次相続まで含めると、①の合計は約770万円になり、②よりも375万円ほど多くなります。 母が受け取った1億円が、基礎控除が下がった状態でまるごと子に課税されるためです。

反対に、③のように子だけで相続すると、一次相続の時点で約630万円の税金がかかります。 配偶者の税額軽減をまったく使わないことになるため、こちらも合計では割高です。

結果からわかること

このシミュレーションから見えてくるのは、「一次相続だけで最安を目指すと、2回分の合計では損になることがある」という点です。

大切なのは、1回目と2回目を合わせた合計で考えることだといえます。

今回の例では②の法定相続分どおりがもっとも安くなりましたが、どの家庭でもそうなるとは限りません。 遺産の総額や、残された親自身の財産、年齢、生活費の見込みなどによって、最適な割合は変わります。

そのため、母の取り分を何パターンかに分けて計算し、合計が少なくなる割合を探していく方法がとられます。

あわせて、母がこれからの生活に困らないかどうかも、税金と同じくらい大事な判断材料になります。

子の相続税負担を抑える一次相続の分け方

二次相続を見据えた分け方には、いくつかの考え方があります。 ここでは、一次相続の遺産分割で検討したい代表的なポイントを紹介します。

残された親の生活費・介護費用を優先して確保する

二次相続の税金だけを考えれば、残された親の取り分を減らすほど有利に見えるかもしれません。 しかし、親がこれから先の生活費や介護費用に困ってしまっては本末転倒です。

まずは、残された親が安心して暮らせるだけの預金や住まいを確保することが前提になります。

そのうえで、それを超える部分を子にも分けていくと、二次相続の財産をふくらませすぎずにすみます。

親の年齢や健康状態、年金の額なども考えながら、無理のない割合を決めることが大切です。 遺産分割協議書の作り方や費用については、遺産分割協議書の費用はいくら?預金・不動産・株式も参考にしてください。

預金・不動産・株式など、財産の種類も踏まえて分ける

財産の種類によって、だれが相続するかを決めるのも1つの方法です。

たとえば、今後値上がりが見込まれる土地や株式は、一次相続の段階で子が相続しておくと、二次相続で値上がり分に税金がかかるのを抑えられます。 もちろん、値上がりするかどうかは予測が難しいため、あくまで判断材料の1つとして考えるとよいでしょう。

一方で、残された親には預金のように生活に使いやすい財産を中心に渡すと、時間とともに財産が減り、二次相続の税額も下がりやすくなります。

ただし、親がその預金を使わずに残しておけば、結果的に二次相続の財産は減りません。

また、小出税理士事務所へのご相談でも、山林や農地を持っていながら、その場所や広さを親自身が把握していないケースがよく見られます。 どこに何の財産があるのかわからないまま分割すると、二次相続で思わぬ財産が見つかることもあるため、事前の確認が欠かせません。

財産の調べ方については、相続財産調査は誰に頼む?でくわしく紹介しています。

配偶者居住権を活用する

自宅を相続するときに検討したいのが、2020年4月に始まった「配偶者居住権」です。 これは、自宅の権利を「住み続ける権利」と「所有する権利」に分け、配偶者は住む権利だけを相続できるしくみです。

たとえば、母が配偶者居住権を、子が自宅の所有権を相続するという分け方ができます。

母は今までどおり自宅に住み続けられるうえ、母が亡くなると配偶者居住権は消えるため、二次相続ではこの権利に相続税がかかりません。

一方で、配偶者居住権を設定すると、自宅を売りたくなったときに手続きが複雑になるなどの注意点もあります。 また、母が生きているうちに権利を手放したり、合意で解消したりすると、子に贈与税がかかる場合があります。 登記も必要になるため、家族の将来の住まい方まで含めて判断することが大切です。

相次相続控除が使えるかも確認する

一次相続から10年以内に二次相続が起きた場合には、「相次相続控除」という制度で税金が軽くなることがあります。 これは、短い期間に続けて相続税がかかる負担を和らげるための制度です(国税庁 No.4168 相次相続控除)。

ただし、この控除が使えるのは、一次相続で残された親に相続税が課されていた場合に限られます。

一次相続で配偶者の税額軽減を使い、親の税額がゼロだった場合は、この控除は受けられません。

あえて一次相続で親にも相続税が課されるように分けておくと、二次相続でこの控除が使えるケースもあります。 どちらが有利かは家庭によって異なるため、両方を計算してくらべてみることをおすすめします。

残された親が生前にできる二次相続対策

一次相続の分け方が決まったあとでも、残された親が元気なうちにできる対策はあります。 時間をかけるほど効果が出やすいものもあるため、早めに検討しておくと安心です。

生前贈与で少しずつ財産を移す

残された親から子や孫へ、生きているうちに財産を少しずつ渡していく方法です。 年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからない「暦年贈与」は、代表的な方法として知られています。

ただし、2024年1月以降の贈与からは、亡くなる前の一定期間に受けた贈与を相続財産に足し戻すルールが、3年から7年へと段階的に延びています。

親が高齢になってから始めても効果が出にくいことがあるため、なるべく早めのスタートが望ましいといえます。

暦年贈与の効果や注意点は、【福井県】暦年贈与でいくら節税できる?知らないと損する仕組みと活用法で解説しています。

生命保険の非課税枠を活用する

残された親を契約者・被保険者とし、子を受取人とする生命保険に加入する方法もあります。 死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるため、預金のまま残すより税金を抑えられる場合があります。

たとえば子が2人なら、1,000万円までの保険金は相続税の対象から外れます。 また、保険金は受取人の財産としてすぐに受け取れるため、相続税を納めるためのお金としても役立ちます。

とくに二次相続では、配偶者の税額軽減が使えないぶん、子が自分の手持ちのお金から相続税を払わなければならない場面も出てきます。

不動産が多く現金が少ない家庭では、保険で納税資金を用意しておくと、相続のあとに慌てずにすみます。

ただし、契約者や受取人の組み合わせによっては、相続税ではなく所得税や贈与税の対象になることもあります。 加入前に、だれが保険料を払い、だれが受け取るのかを確認しておくことが大切です。

くわしくは、生命保険が相続税対策になる理由とは?契約形態で節税額が大きく変わるをご覧ください。

財産の一覧を作っておく

二次相続の準備として意外と効果が大きいのが、残された親の財産を一覧にしておくことです。 預金口座や保険、不動産、株式などを書き出しておくだけでも、子が相続のときに困る場面はぐっと減ります。

とくに山林や農地は、評価額が低く固定資産税がかからない場合、毎年の納税通知書が届かないことがあります。

そのため、親自身も「どこに土地を持っているかよくわからない」という状態になりやすい財産です。

市区町村の役場では、名寄帳(なよせちょう)という、その人がその市区町村に持っている不動産の一覧を取り寄せられます。 名寄帳は市区町村ごとに作られているため、親が複数の市町村に土地を持っている場合は、それぞれの役場で確認が必要です。

親が元気なうちに一緒に確認しておくと、財産の全体像をつかみやすくなり、どんな対策が必要かも判断しやすくなります。

遺言書を準備して分け方を決めておく

二次相続では相続人が子だけになるため、親という「まとめ役」がいなくなります。 そのぶん、きょうだいの間で分け方の意見が合わず、話し合いが長引くこともあります。

残された親が遺言書を用意しておけば、だれに何を渡すかがはっきりし、子どもたちの負担を減らせます。

とくに自宅や土地のように分けにくい財産がある場合は、遺言書で方針を示しておく意味が大きくなります。

なお、空き家になる実家の扱いに迷っている場合は、空き家を相続する場合どうする?売る・貸す・放棄するの損得を税理士が解説もあわせて参考にしてください。

まとめ

二次相続は、相続人が減って基礎控除が下がり、配偶者の税額軽減も使えないため、一次相続より相続税が高くなりやすい相続です。 一次相続で配偶者に多く分けるほど、2回分の合計では負担が重くなるケースがあります。

対策を始めるのは、両親が元気なうちが理想です。 すでに一次相続が起きている場合でも、遺産分割がまとまる前であれば、二次相続まで見通した分け方を選べます。

残された親の生活費を確保しつつ、配偶者居住権や生前贈与、生命保険なども組み合わせながら、家族が納得できる分け方を考えていきましょう。

二次相続まで見据えた相続のご相談は、福井県敦賀市の小出税理士事務所へ

一次相続と二次相続の税額を何通りも計算してくらべるには、財産の評価や特例の判断など、専門的な知識が必要です。

小出税理士事務所の代表は、金沢国税局に採用され、主に福井県内の税務署で30年あまり、資産課税や個人課税の実務に携わってきました。 その経験を活かし、二次相続まで見通した分け方を、税金の面からご提案いたします。

「父の相続をどう分ければいいか迷っている」「山林や農地があって財産の全体がつかめていない」といった方は、ぜひご相談ください。 初回相談は無料です。 お気軽にお問い合わせください。



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小出規峰税理士事務所

住所:福井県敦賀市 古田刈68-103-1

電話番号:0770-37-1116

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